2020年10月、広島市に個別指導塾として開校した博桜会。
開校当初は1対1・1対2の個別指導を中心に行っていましたが、その後、自立学習とのハイブリッド型を約1年間実施し、比較検証を行いました。
その結果、自立学習を行っている生徒の方が成績の伸びが大きいことが分かり、2025年4月から個別指導を完全に撤廃。
現在は、学習コンサルティング付きの自立学習「博桜会式自立学習」を軸に、年間定員50名、原則365日開校というスタイルで運営されています。
今回取材させていただいたのは、宮宇地兄弟の兄であり、代表の宮宇地聡史さんです。
では、そんな博桜会が大切にしていることは何なのか。ゼロ塾ガイドは、代表の宮宇地聡史さんへ直接お話を伺い、その教育方針や自立学習の仕組みについて詳しく聞きました。
博桜会はどんな塾?

渡辺なおや――広島にある博桜会は、どんな塾でしょうか?
弟と2人で運営している学習塾です。2020年10月に広島市で開校しました。
最初は1対1・1対2の個別指導からスタートしましたが、現在は個別指導を行わず、「博桜会式自立学習」を中心にしています。
定員は年間最大50名です。
ただ、単純に50名という人数だけで決めているわけではありません。学年構成や、受験生・非受験生の比率によって必要なサポート量が変わるので、その時々の状況を見ながら受け入れ人数を細かく調整しています。
何人集められるかではなく、何人なら責任を持ってサポートできるか。
そこを基準にしています。
開校時間は13時から22時まで。日曜・祝日も含め、原則365日開校しています。
お盆や年末年始も含めて、塾の都合による休校は設けていません。年間で3回ほど教育イベントへの参加などで休校することはありますが、それ以外は基本的にいつでも学習できる環境を整えています。
渡辺なおや――博桜会の指導方針について教えていただけますか?
博桜会が一番大切にしているのは、「自分で勉強できる生徒を育てる」ということです。
先生に教えてもらっている時間だけで学力を上げるには、どうしても限界があります。受験が終われば、先生がいつも隣にいるわけではありませんから。
自分で問題を解いて、間違えたら原因を考える。必要なら質問する。そして、もう一度解き直す。
その繰り返しによって、本当の学力が身についていくものだと考えています。
一般的な個別指導塾とは、考え方がかなり違うかもしれません。
「何を教えるか」ではなく、「どうすればこの子が自分で学べるようになるか」。そこを大切にしています。
自立学習というと、「生徒に任せる」という印象を持たれがちですが、そうではありません。
自分で歩いてもらう。でも、必要なときは必ず支える。
それが博桜会式自立学習のスタンスです。
個別指導をやめた理由と1年間の検証結果

渡辺なおや――個別指導から、自立学習を軸とした現在のスタイルに切り替えた理由を教えていただけますか?
開校から約2年半は個別指導でやっていました。
ただ、面談や日々の指導を通じて、個別指導の限界が少しずつ見えてきたんです。
できる子は、個別指導を続けていく中で、だんだんと「先生に教えてもらう時間」よりも「自分で問題を解く時間」が増えていきます。
先生との授業で分からないところを確認したら、あとは自分で問題を解いていく。
そうなると、個別指導の時間そのものが、少しずつ自習に近いものになっていくんです。
一方で、できない子は、週に1回、2回授業を受けると、それだけで「勉強した」「やった」という感覚になってしまうことがあります。
授業を受けて終わり。自分で勉強するところまで、なかなか進まない。
その結果、個別指導という同じ形で指導していても、生徒によって学習の伸び方に大きな違いが生まれてしまう。
そこで、「だったら最初から、自分で学習することを中心にした方がいいのではないか」と考えるようになりました。
ただ、いきなり授業をなくすのは難しかったので、個別指導と自立学習の両方を取り入れたハイブリッドコースを作りました。
これを約1年間実施して、成績の伸びを比較したんです。
その結果、自立学習で取り組んでいる生徒の方が、約1.5倍のペースで伸びていくことが分かりました。
その検証結果をもとに、2025年4月から個別指導を完全に撤廃しました。
個別指導が悪いということではありません。
私たちは実際に個別指導をやってきました。その良さも、限界も、両方を経験したからこそ、今の形にたどり着けたのだと思っています。
渡辺なおや――日曜・祝日も開校されている理由を教えてください
一番の理由は、学習習慣を途切れさせないためです。
せっかく習慣がついたのに、塾側の都合で制限したくないんです。
「今日は塾が休みだから勉強できなかった」という風にはなってほしくない。
自分で「今日は勉強しよう」と決めたときに、その選択を支えられる場所でありたいと思っています。
授業なしで成績は伸びるのか|学習コンサルと自立学習の仕組み

渡辺なおや――自習に社員の先生が付くのはなぜですか?
うちは個別指導のブースをすべて取り払い、オープンスペースにしています。
長机、広めの一人机、話し合いができる机など、いろいろな形の机を用意していて、どこに座って勉強してもいいというスタイルです。
「自習室を用意した」というより、自分で勉強する場所を塾の中心に置いたという感覚に近いですね。
授業のない時間に自習をするのではなく、自習こそが学習の中心なんです。
この自立学習を支えているのが、週1回30分程度の学習コンサルティングです。
私たちが一方的に「これをしなさい」と決めるわけではありません。
まず先週の振り返りをします。
予定通りできたか。できなかったなら、なぜできなかったのか。
それを生徒本人との対話の中で確認します。
そのうえで、学校の予定や部活動、テストなどを考慮しながら、次の1週間の学習計画を全科目について一緒に立てていきます。
最終的には、生徒自身が納得して、
「今週はこれをやります」
と決める。
自分で決めるからこそ、自分で管理して進められるようになっていくんです。
自習中も、私たち社員やアルバイトの先生がいますので、分からないことがあればいつでも質問できます。
自分で勉強することと、誰にも見てもらわずに勉強することは、まったく違います。
図書館や公民館で一人で勉強するのと、常に大人がいて、必要なときにはすぐ質問できる環境では、やはり違うんですよね。
社員とアルバイトの先生では、担う役割の重心が異なります。
アルバイトの先生には、日々の学習を支える役割をしてもらっています。質問対応、声かけ、丸つけ、学習状況や進捗の確認などです。
私たち社員は、その上で生徒一人ひとりの学習状況を継続的に把握し、判断する立場です。
この子は今どこにつまずいているのか。先週と比べてどう変わったのか。今後どう進めるのがよいのか。
そこに責任を持つのが社員の仕事です。
渡辺なおや――講師の採用・育成で大切にされていることはありますか?
アルバイトの先生は、医学部・歯学部・薬学部の学生が中心です。学力面でも高い水準の先生が多いですね。
ただ、採用で重視するのは学力だけではありません。
教えるのが上手な人というより、「つまずきの種類を見分けられる先生」を大切にしています。
同じ「数学が苦手」という生徒でも、計算力が苦手なのか、文章題が苦手なのか、あるいはプレッシャーによって本番で力を出せないのか。
そうした違いを見つけられることが重要です。
全部教えてしまうのではなく、どこまで手を出して、どこから本人に考えさせるのか。
教える先生ではなく、育てる先生。見守れる先生。
採用するときは、そこを常に意識しています。
どんなお子さま・家庭に選ばれているか

渡辺なおや――生徒さんの1週間の過ごし方を教えてください
学習コンサルティングで立てた計画に沿って、自分のペースで通塾してもらっています。
平日は学校終わりに来て、中学生で3~4時間、高校生で4~5時間くらいが一つの目安です。
ただ、最初から長時間できる必要はありません。
慣れていない生徒は、最初は1日1時間から始めることもあります。
「気づいたら4~5時間勉強していた」という状態になるまで、少しずつ習慣を作っていきます。
13時から22時までの間であれば、基本的にいつ来て、いつ帰っても自由です。
家が近い生徒だと、昼から夕方まで勉強して一度帰り、夜ご飯を食べて、また来て22時まで勉強するという子もいます。
目標校についても、偏差値で制限は設けていません。
偏差値70以上とか、東大合格者何名といった打ち出し方はしていないんです。
オープンキャンパスに行って「ここに行きたい」と心から思ったときに、学力が足りなくて行けないという悔しい思いをしてほしくない。
下は偏差値50を切るくらいの学校から、上は旧帝大まで、本気で目指す生徒さんには本気で向き合う。
それが博桜会の特徴だと思っています。
渡辺なおや――博桜会に多いご相談は何ですか?
一番多いのは、「勉強しているのに成績が伸びない」というご相談です。
詳しくお話を伺っていくと、「勉強している」という言葉の中身に問題があるケースが多いんですよね。
勉強時間は長いけれど苦手なところを避けている。
問題を解いて丸つけだけして終わっている。
間違えた問題を解き直していない。
部活動が忙しくて、学校の課題をこなすだけで精一杯になっている。
そういうケースです。
だからこそ、何時間勉強したかだけではなく、「何ができるようになったのか」を見ることを大切にしています。
10時間やったからOKではなく、今日何ができるようになったのか。
そこをしっかり見えるようにしています。
また、保護者の方とは月1回程度の定期面談を行っています。
「毎日が参観日のような状態」と言うと分かりやすいかもしれません。
今の学習状況だけでなく、今悩んでいること、最近できるようになったことなどを、できるだけ細かくお話ししています。
常に生徒の学習を見ているからこそ、具体的なお話ができるんです。
なお、博桜会には季節講習がありません。
月額料金は一定で、夏・冬・春だけ講習費が追加されるという仕組みではありません。
長期休暇であっても、一人ひとりに必要な学習を考え、その生徒に必要なことを必要なだけ行うという考え方です。
代表が考える塾選びのポイント

渡辺なおや――塾選びで迷うご家庭に伝えたいことはありますか?
塾を選ぶときに、「授業が多いか」「先生がたくさん教えてくれるか」だけで判断してほしくはないと思っています。
一番見てほしいのは、
「その塾に通うことで、お子さん自身が自分で勉強できるようになるか」
ということです。
塾では先生がついてくれるから問題が解ける。でも家に帰ったら、自習室で一人になったら何もできない。
そういうケースは結構あります。
でも、受験本番では先生が横にいるわけではありません。
逆に、最初は一人で勉強できなかった子が、少しずつ自分で計画を立てて、分からないところを質問して、最後までやり切れるようになる。
私は、そういう変化ができる塾かどうかが大切だと思っています。
塾選びでは、
「この塾なら、この子が3年後、5年後にどうなっているだろう」
と考えてみてほしいです。
今後、力を入れていきたいこと

渡辺なおや――今後、力を入れていきたいことを教えていただけますか?
自立学習の仕組みを、もっと完成度の高いものにしていきたいですね。
面談を通じて保護者の方や生徒さんのニーズを聞いて、それを仕組みに反映し続けています。
実は、今の自立学習のスタイルも、そうした声の中から生まれたものなんです。
博桜会は、本当に日々進化している塾だと思っています。
面談では、「こういうものがあったらいいな」ということは何でも言ってください、とお伝えしています。
可能な限り、それを実現していきたい。
世の中がどんどん変わっていくように、教育現場も変わっていきます。
だからこそ、その時代、その生徒、そのご家庭にとっての最適解を、常に考え続けられる塾でありたいと思っています。
最後に

私たちが育てたいのは、単に勉強ができる子ではありません。
大人になっても、うまくいかないことはあります。
そのときに、誰かが答えを教えてくれるとも限りません。
壁にぶつかったときに、そこで止まるのではなく、
「では、どうすればいいだろう」
と自分で考えられる人になってほしい。
自分で考えて、行動して、失敗したら修正する。
その積み重ねが、受験の先の人生にもつながっていくと考えています。
そして、これは勉強だけの話ではないと思っています。
人生には限りがあります。
今という時間も、今出会えている人との縁も、永遠に続くものではありません。
だからこそ、今を大切にしてほしい。
限りある人生だから、今を生きる。
今できることを始める。
博桜会の、
「いつかやる」ではなく、「いま始める」。
という言葉には、勉強だけではなく、そういう人生への想いも込めています。
いつか咲く桜をただ待つのではなく、今できることを一つずつ始める。
その先に、それぞれの人生の「桜」が咲けばいい。
そして、その歩みの中で出会った人との縁も大切にしてほしい。
自分で歩く。必ず支える。
それが、私たちが大切にしている博桜会の教育です。
本記事は、教育関係者・保護者・塾運営者などへの取材をもとに構成した一次情報コンテンツです。
内容の引用・転載については、サイトポリシーをご確認のうえ、出典を明記してご利用ください。


コメント