非常勤講師として、今も教育現場に携わっている いそべみほさん。
ゼロ塾ガイドの監修者・ライターとして活動されている一方で、家庭教師としても指導にあたっています。
渡辺なおやみほさんは、AIと人では得意とする領域が異なると語ります
AI学習が当たり前になった今、「誰に向いていて、誰には向いていないのか」。
その境界線を、現役教師の視点から丁寧に掘り下げます。
非常勤講師・家庭教師として見てきた教育現場のリアル

渡辺なおやーまずは、みほさんの自己紹介をお願いいたします。
わたしは、非常勤講師として私立高校で週5日間、高校の化学を指導してます。それと共に家で少し監修者のお仕事をさせていただいたり、Webライターのお仕事をさせてもらっています。
あとは、家庭教師も少ししていまして、お家で中学受験を目指している小学生の指導をさせてもらってます。非常勤講師で今年行かせてもらってる学校は、国立大学を目指して受験勉強を頑張っている生徒さんがメインです。
私立大学に行く人もいますし、基本的に勉強をしっかり頑張りたいっていう意思で高校に通ってきている生徒さんに教えてます。いわゆる進学校ですね。
AIやオンラインで「教育は置き換えられる」のか?

渡辺なおやーでは、AIやオンラインで教育の現場は180度変わると思いますか?
聞いた瞬間になるほど…と少し考えましたが、無理だなって思ったんですよね。もちろん人口が減っていってるので、AIに置き換えられるところはあると思いますが、それを有効に利用できる生徒が本当に一握りしかいないなと思いました。
自分が今、教えている生徒の顔を思い浮かべた時に「あの子とあの子はいけるけど、この子厳しいな」とかって思ったんですよね。だから、教育現場から学校がなくなることはないなと思いました。
塾では、AIとかオンラインで集約できるところを推進していますね。サテライト講座とかで、映像オンライン授業でサブの学習ポジションをとっている塾もありますが、学校はならないなって思いました。始まった当初と今も変わらず、同じ考えですね。
コロナ以降に起きた学び方の変化とデジタル化の実態

渡辺なおやーコロナ以降、AIやオンラインは教育現場で普及していますか?
教育現場はコロナ渦以降、AIやオンラインなど、デジタルの方にシフトチェンジしてきてると感じます。すごく変わったと思います。授業のノートとかプリントとかは減っているかな。学校によって違うとは思いますが、減ってると思います。
ただ、完全なオンライン移行っていうわけでもないです。現場で見ていると、勉強ができる、いわゆる偏差値の高い生徒さんの方がリアルなプリントを欲しがります。
偏差値の高い生徒さんはタブレットへの書き込みじゃなくて、ノートやプリントを使いたがります。逆にその一歩手前のレベルの学力の生徒はオンラインでやりたがるところがあると思います。
それがいけない訳じゃありませんが、一歩踏み込めてない。勉強にぐっと入り込めてないのは、タブレットを上手に使えてないからかなと思っています。例えば、私は理系なので、化学で計算をすることがあるんです。
リアルに書いた文字って、消しゴムで消さない限り残りますよね。タブレットって閉めてしまうと消えたり、スライドすると見えなくなった状態で、次の見えるところだけの画面を見て書いたりとかしてるので、もしかしたらあんまり良くないのかなと感じてます。
AI・オンライン学習が向いている生徒/向いていない生徒

渡辺なおやーAIやオンラインが合っている生徒の共通点はなんでしょうか?
ある程度の基礎ができていて、自分の目的地を分かりながらAIで検索できる子はとても有効だと思います。逆に、どこが分からないかもわからない人は、AIは絶対無理かなと思います。
まず何を聞けばいいのかわからないので、AIに指示できないですよね。これを教えてっていう指示ができないし、オンラインで流れてきた情報に対して、ここももうちょっと教えてっていうことが言えない。
AIとの相互のやり取りがあんまりできないと思うので、そこはリアルの方が圧倒的にいいなと思います。東大や京大などの最難関を目指してる子は、手書きとオンラインを上手に使い分けている印象です。
自分の必要な情報、欲しい情報がはっきりわかっているので、普段は割と手書きで勉強しつつ、わからないところはAIに聞いたり、オンラインで欲しい情報だけ自分で取捨選択できると思います。
渡辺なおやーでは逆にAIやオンラインが向かない生徒の共通点はなんでしょうか?
オンラインにも2種類ありまして、一斉配信のオンライン授業と、一対一のオンライン個別授業とで、話が違ってきますね。
一斉に配信されてる授業を聞ける人っていうのは、ある程度理解できてる人ですね。自分がどこがわからないのか、わからない。その状態で、オンラインで一斉授業を聞いても、よくわからないっていうことが起きてしまうので、その場合は一対一の個別を絶対選ぶべきだなって思います。
オンラインであれ、実際に直接教えるのであれ、学力が低い子に対しては、個別で教えるっていうのが、有力な選択肢として入ってくると思います。
AIに任せてよい学習と、人が関わるべき学習の境界線

渡辺なおやーAI時代、任せて良い学習領域はどこですか?
AIがすごいいいなって思うのは、暗記物かなと思っています。社会科のイメージですね。わたしはあんまり社会は得意ではありませんが、例えばどこを覚えててどこを覚えられてないかとかっていう、覚えることがたくさんあるのを管理するのに向いていると思うんです。
答えをAIとやり取りすると、合っている、間違ってるっていう判断は、AIが早くて正確で得意だと思うんですよね。さらに、問題に対しての間違い方から、多分ここができていないっていう予想を、AIは膨大なデータの中から探してきてくれるんですよね。
勉強しないといけないところを、一瞬で出してくれるし、周辺の情報までをパッと出してくれるとかっていうところも含めて、暗記物にAIは強いと思います。社会科とか、理科でも暗記物の単元、例えば生物とかに関しては、AIはすごくいいなって思います。
逆に、例えば理科でも複雑な計算問題とか、語学系もおすすめしない。語学も単語を覚えるとか、熟語を覚えるとかは暗記なのでAIは使えると思うんです。
でも、長文の英作文などだと、判断が難しいですね。複数の答えがあるようなものに関しては、AIよりもやっぱり人の方がいいかなって思います。
渡辺なおやー他にもAIが得意な領域はありますか?
わたしの息子(2025年に大阪公立大学へ現役合格)がやってたことで挙げると、ここのところを勉強したいんだけど、どんな参考書を使えばいいですか?志望大学ぐらいのレベルでみたいなことを言うと、提案してくれるので、そういうのにAIはいいですよね。
自分で調べようとすると、本屋さんへ行って一冊一冊取り出して中身を見て、このレベルどうだろうとかってやってたのが、AIでレベル感までバンって出してくれたら、ピックアップされたのだけを探せばいいので、それはすごく使えると思います。
AI学習を検討する保護者・生徒へのメッセージ

渡辺なおやーAIを使って学習効率をアップさせたい方々に伝えたいことはありますか?
AIを使う上で一番大切なことは、上手な使い分けです。その一択ですね。頼りたくなるところも多いですけど、頼っていい分野なのかどうかっていうのをしっかり見極めないと、無駄な時間を過ごしてしまうことになりかねないと思います。
上手に使い分けないと、ただ意味も分からず暗記しないといけないと思うだけで、頭の中は何も理解が進まないまま時間がどんどん過ぎていくっていう風になりかねないです。ChatGPTってわたしも普段使ってて思うんですけど、どんどん質問してくれるんですよね。
こんなのも調べましょうかとか、次はこんな提案しましょうかとか。全部に乗っかってたらすごい時間を使うと思うんです。
「わたしが知りたいのは、こんなことじゃなかった」みたいなことにもなりかねないので、使う場所と使わない時間っていうのをメリハリつけて、勉強をしていただきたいなと思います。
本記事は、教育関係者・保護者・塾運営者などへの取材をもとに構成した一次情報コンテンツです。
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