シルク・ドゥ・ソレイユ元通訳で「Youは何しに日本へ?」の通訳経験も持つ岩﨑達矢氏が運営する「英会話のNEW」。
シングルマザー家庭で塾に通う余裕がなかった少年時代、近所の塾講師や偶然出会ったレコード屋の店主など、人との縁が道を切り拓き、29歳でシルク・ドゥ・ソレイユの通訳に。
その後、独自の視点で英会話のNEWを創業し、40〜60代の女性を中心に累計3,500名以上の英語学習を支えてきました。
他のスクールで挫折した受講生が、なぜNEWでは驚くほど続くのか。その秘訣を岩﨑様に取材しました。

英語だけが武器だった。バンドマン時代からシルク・ドゥ・ソレイユへ

渡辺なおやー学生からバンドマン時代はどんな人間でしたか?
14歳で初めてギターを買って、そこからはもう「自分は音楽でやっていくんだ」と完全に思っていました。一直線というか、それに向かってやっていくぞ、と。
いろいろ迷ったり悩んだりはしましたけど、音楽にチャレンジしたいという気持ちだけはずっと強くて、そのことばっかり考えていましたね。
英語については、もともと普通の日本語の家庭で育ったんですけど、中学の頃にアメリカやイギリスの音楽に興味を持ち始めて。何を言ってるか全然わからないけど、めちゃくちゃかっこいいなと。それで英語にも興味が湧いてきました。
近所に小さな塾が1個だけあったんですけど、うちの親が離婚していてシングルマザーで、塾に通わせる余裕がなかったんです。
でもその塾の先生がうちの家庭の事情を知ってくれていて、無料で教えてくれました。そこで英語が得意科目になって、高校2年の時にアメリカに1年留学させてもらって、ある程度喋れるようになったという感じです。
29歳までずっとバンドをやっていたんですけど、バイトしながらで、全然売れないまま解散してしまいました。この先どうしよう、お先真っ暗だと。でも英語力だけはあったんですよね。音楽をやっている間も英語で曲を作ったり、外国人のバンドマン仲間がいたりしたので。
ただ、29歳・男性・学歴なし・職歴なしで就職活動しても、英語ができるだけでは何も見つからない。面接も全部落ちました。
そんな時、面接の帰りに大阪のとあるレコード屋にふらっと入ったんです。初めて入った店だったんですけど、そこのおっちゃんが話しかけてくれて。
「今仕事探してんの?英語できるんやったら、俺の知り合いがちょうど探してるよ」と。それがシルク・ドゥ・ソレイユの通訳の仕事でした。
シルク・ドゥ・ソレイユは日本に来ると1年から1年半ぐらいツアーで全国を回るんですけど、100人ぐらいの外国人のパフォーマーたちが団体で移動するんですね。その人たちの日本での生活や仕事を円滑に進めるためのサポート、通訳の役割です。
当時、その役割は1人しかいなくて、前任者が辞めたタイミングでたまたまレコード屋のおっちゃんの知り合いがそこにいた、という奇跡みたいな話です。
本当に英語力があってよかったなと、あの時は心から思いました。
東日本大震災、退職、そして継続率0%からの出発

渡辺なおやー英会話のNEWを始めようと思ったのはなぜですか?
シルク・ドゥ・ソレイユの後に、もう1つ別の会社で働いていたんです。アメリカにある音楽配信関係のベンチャーで、社員が13人ぐらいいるんですけど、全員ハーバード出身。
ハーバードの仲間同士で集まって作った会社で、日本で初めて音楽配信にレコメンデーションをつけるということをやっていました。そこにバンドマン時代のアメリカ人の友達の紹介で入って、ジャパンマネージャーとして4〜5年リモートで働いていました。
でもだんだん仕事がつまらなくなってきて。結婚もして「まあとりあえずここで頑張っていればいいかな」という感じだったんですけど、2011年に東日本大震災が起きて。大阪にいても「今日で人生終わるかもしれない」と思うぐらいの衝撃で、このままでいいのかなと。
ただ、バンドで挫折して以来、「これがやりたい」というものがなかったんですよね。このままじゃダメだとは思ったけど、やりたいこともない。でもできることと言えば英語しかないので、ちょっと英語で何かやってみようかなと。
最初は英語コーチングみたいなことを始めました。当時は英会話スクールに行って週1回レッスンを受ける、というのが普通のやり方でしたけど、ぶっちゃけあれではなかなか喋れるようにならない。
僕は「どうすれば本当に喋れるようになるか」という直感みたいなものはあったので、コーチングに近い形で最初の10人にモニターをやらせてもらったんです。
マンツーマンで話をすると、みなさん「やる気になりました、今日から頑張ります」となるんですけど、1ヶ月経ったら誰も英語の学習を継続していなかった。成功率0%です。
でも、だからこそ気づけたんですよね。「こういうやり方じゃダメなんだ」と。じゃあどうすれば人が継続して学習できるのか、ということを結構本気で研究し始めました。
いろいろ試していく中で、3ヶ月間マンツーマンで毎日やり取りするスタイルをやってみたんです。それを受けてくれた方が1年の留学経験者だったんですけど、「1年の留学よりこの3ヶ月の方が伸びた」と言ってくれた。
その一例ではあるんですけど、確かな手応えを得たので、これはちゃんと本気でやってみようと。それで前の仕事を辞めて、英会話のNEWをスタートしました。
だから、そんな大きなビジョンなんて全くなかったです。「世の中の英語教育を変えるんだ」みたいなかっこいい目標ではなく、手探りで、目の前の人がうまくいくにはどうすればいいんだろうということを、失敗しながらやっていった。
その中で一つ形ができたので始めた、という感じです。苦労については、正直その時は夢中でやっていたのであまり苦労という感覚はなかったんですよね。ハーバードの会社にいた最後の方は仕事が全然楽しくなかったので、それに比べたら超幸せだったと思います。
ただ、不安は常にありました。うまくいくかどうかわからないんで。不安との折り合いのつけ方というのが一番大変だったかもしれません。
それは今でも変わらないですけどね。そうやって走り続けて、創業5年後に一回体を壊して倒れました。気づかないうちにストレスが積み重なっていたんでしょうね。
「外国人と交換日記」はこうして生まれた

渡辺なおやー「外国人と交換日記」というコンセプトはどこからきていますか?
英検1級の受講生が教えてくれたヒント
きっかけは、うちの受講生の一人の話でした。その方は留学経験がないのに、30歳を過ぎてから独学で英語学習を始めて、TOEICほぼ満点、英検1級まで到達したすごい方なんです。
当時、僕はマンツーマンのレッスンをやっていたんですけど、同じようにやっても伸びる人と伸びない人がどうしてもいる。その差を埋めたくて、その方に「いろいろやってこられたと思うんですけど、何が一番効果がありましたか?」と聞いたんです。
そうしたら、TOEICの点数が400点ぐらいの初心者だった頃に知り合った外国人の先生がいて、その先生が自分の国に帰った後、メールで恋愛相談をされたらしいんですよ。日本人の男性に恋をして、口説き落とすにはどうしたらいいか、という相談が英語で来る。
なんとか読み解いて、なんとか返信して。そうしたらさらに倍ぐらいの長い返信が来て、またなんとか読み解いて返す。それを1年ぐらい続けていたら、めちゃくちゃ英語が伸びたと。
この話を聞いた時に「これだ」と思いました。
一人の日記は続かない。相手がいるから返したくなる
要は、英語を学ぶこと自体ももちろん大事なんですけど、「この人とコミュニケーションしたい」「この人と会話しなければならない」という相手がいる人は、絶対に伸びるんですよ。
彼氏彼女が外国人になったらみんな英語喋れるようになるよ、という話を聞いたことがあると思うんですけど、まさにそれです。相手がいる人は漏れなく伸びていく。
普通は「英語が喋れるようになってから外国人の友達を作ろう」と考えるじゃないですか。でもそうじゃなくて、全然喋れない時からコミュニケーションする相手がいるということが、学習の質を変えるんです。同じように単語を覚えるにしても、吸収度がまるで違ってくる。
じゃあそれをプログラム化できないか、というところからいろいろ試行錯誤して誕生したのが「外国人と交換日記」です。
最初は「英語日記」と言って一人で日記を書きましょう、とやってみたんですけど、生徒さんの反応は全くなかった。でも交換日記にしたら、相手がいるわけです。LINEが来たら返すじゃないですか。それと同じ感覚で「返したくなる」。モチベーションが下がっていても、相手から来たら返す。その存在はすごく大きい。
スタートしたら最初からすごい好評をいただいて、なんだかんだ今年で「外国人と交換日記」は10年目ですね。
英会話の前に基礎体力。英文法の寺子屋という選択肢

渡辺なおやー英文法の寺子屋について教えていただけますか
「英文法の寺子屋」は名前の通り、基礎の英文法をしっかり学ぶ講座です。中学校レベルの英文法力って本当にめちゃくちゃ大事で、僕もそう思っているんですけど、大人になってからそれをちゃんと学べる場所って全然なかったんですよね。
英会話スクールばかりで、文法をしっかり教えてくれるところがない。寺子屋の講師は出野という別の講師が担当しているんですけど、普段は大学でTOEICを教えている人です。
あるときTOEIC講座をやったら、参加者の基礎的な英文法力がなさすぎて「TOEICをやっている場合じゃない」と。
TOEICの教材で勉強することで、かえって英語がわけわからなくなっている人たちがいて、「この人たちには基礎の英文法を教えた方がいいんじゃないですか」という提案をもらったんです。それで始めたのが寺子屋です。
だからうちの「英文法の寺子屋」は英文法しかやらない。英会話もやらないし、本当に基礎工事、基礎体力をつけるための場所です。
たとえば野球で活躍しようと思ったら、最低限の筋力とか体力って必要じゃないですか。英語で言うとそれが英文法にあたる。英会話って、いきなり130キロ投げるようなことなんですよ。
基礎体力がないのにバッティング練習ばかりしても伸びない。そこの基礎を徹底的にやるのが英文法の寺子屋の特徴です。
うちに来てくださる方には他のスクールで挫折された方が多いんですけど、たいていモチベーションに頼って失敗しているパターンなんです。
申し込んだ最初はモチベーションが高いから頑張るけど、モチベーションって必ず下がる。下がったらまた上がるまで動かない、の繰り返しで結局続かない。
僕は「モチベーションを上げて頑張っていきましょう」みたいなやり方がすごく嫌いで。モチベーションがどれだけない時でも継続できる仕組みを用意しているかどうかの方が絶対に強い。
寺子屋でも講座の最初に必ずその話をするんですけど、「そんなふうに言われたの初めてです」という受講生が多いですね。無理して頑張るのをやめたら、意外と続くし楽しくなってきた、と。
70歳で落ち葉を英語にできた日

渡辺なおやー印象に残っている受講生のエピソードを教えてください
一番は難しいんですけど、直近のエピソードでいうと、還暦を過ぎてから英語の学習を始めた方がいらっしゃるんです。いろいろやったけどうまくいかず続かず、挫折を繰り返してきた方で、去年70歳になる年に、うちの寺子屋に来られました。
基礎をちゃんとやったことで、過去にバラバラだった知識がつながってきて。この間その方がおっしゃっていたんです。街を歩いていたら木の葉っぱが風に舞って落ちていて、「これって英語でなんて言うんだろう」と思ったらしいんです。
「英語でなんて言うんだろう」と思うようになったこと自体が変化なんですけど、実際に英語にしてみたらちゃんと文章が作れた。Googleで調べたらその文章で合っていた、と。
日常でふとそういうふうに英語が出てくるようになったのがすごく嬉しい、とおっしゃっていただいて。人生の大先輩にそう言ってもらえると、本当にうれしいですね。
あとは「目標は国際結婚!」って彼氏いないのに言ってた方が、卒業2年後ぐらいに連絡をくれて「国際結婚しました」と。ドイツ人の方と。「ドイツ語やん」と思ったんですけど、ドイツ人は英語も喋れるので、英語でコミュニケーションしているそうです。
うちは40代から60代の方が多くて、いきなりペラペラになるとかそういうことではないんですけど、英語を学ぶことで日常がちょっと楽しくなる、ちょっと素敵になる。そういう声を本当にたくさんいただいています。
40〜60代の「学び直し」を、もっと手前から

渡辺なおやー英会話のNEWの今後の展望を教えていただけますか
やっぱり40代から60代の方で、英語をもう一度学び直したいという方はすごく多いんですよね。いろんなところでうまくいかなかったり挫折したりした方が、うちに来てやっと英語がわかってきた、学び方がわかったと言ってくださる。
そういう方にもっとリーチしていきたいなと思っています。今は交換日記と寺子屋がうちの二大サービスなんですけど、もうちょっと手前に、もっと始めやすい英語のコミュニティを作りたいんです。
学び直したいけど何から始めたらいいかわからない、情報があふれすぎていて選べない、という人が、そこに入ったら同じような仲間がいて一緒に切磋琢磨できる。そういう場所を今年作っていこうと思っています。
社訓が「人生は楽しむためにあるらしいぜ!」なんですけど、まさにそういう感じで、英語を通じて人生をちょっと楽しくする人を増やしていきたいですね。
\ 入金から14日の返金制度あり /
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