琵琶湖を彩る伝統イベント「びわこペーロン」。
今回、ゼロ塾ガイドは琵琶湖の地域を支える、びわこペーロン実行委員会 事務局の中野さまにインタビューを実施しました。

中野さまは地域にとどまらず、たくさんの人に琵琶湖を少しでも好きになって欲しいという想いがあります
では、具体的にどのような想いから、地域を盛り上げる活動を行っているのか?びわこペーロンがつなぐ社会的意義と背景を深掘りしていきます。
本記事は、滋賀県が琵琶湖を切り口とした2030年の持続可能社会へ向けた目標「マザーレイクゴールズ(Mother Lake Goals, MLGs)」に賛同するびわ湖放送さまへの独自取材として構成しています。
琵琶湖に響く太鼓の音──「ペーロン」がつなぐ未来





ーまずは自己紹介と現在の活動を教えていただけますか?
びわこペーロン実行委員会 事務局の中野と申します。私は、イベント自体の企画・運営と参加チームの募集を担当し、企画から当日の運営までを一貫して行っています。実行委員会では、毎月1回の定例会議を開き、関係団体と連携しながら準備を進めています。
このイベントの起源は、滋賀県の姉妹都市である中国・湖南省にあります。
湖南省から滋賀県へ伝統的なドラゴンボートである「ペーロン船」が2艘寄贈され、それをきっかけに「せっかくいただいた船を活かそう」との思いから、1991年に第1回びわこペーロン大会が開催されました。
初回は進水式を行い、「みんなでペーロン船を体験してみよう」という趣旨でスタートしました。それ以来、びわこペーロン大会は毎年開催され、琵琶湖の夏の風物詩として多くの人に親しまれています。
大会の発展に伴い、別組織として滋賀県ペーロン協会も設立されました。現在は名称を「滋賀県ドラゴンボート協会」に改め、びわこペーロン大会のほか、ドラゴンボート日本選手権大会や子ども向けの「ドラゴンキッズ」大会など、さまざまなイベントを主催しています。
びわこペーロン大会は、この滋賀県ドラゴンボート協会と協力し、びわ湖放送と協会が中心となって運営を進めています。


イベントの起源と成り立ち:国際交流から地域文化へ





ー活動を通じて大切にしている価値観や理念は何ですか?
始まりは国際交流から始まりましたが、それ以降は琵琶湖に親しむ機会になり、滋賀県に住む人も琵琶湖に入ることで、琵琶湖に親しんでもらうイベントになりました。びわこペーロンに参加されてる方の中でも琵琶湖の綺麗さを実感してもらえます。
びわこペーロンには「美しい琵琶湖を未来へ」というサブテーマをつけて、綺麗な琵琶湖を守り続けていきたい想いを繋ぐ意味があります。大会の後にはみんなで琵琶湖の清掃活動も行い、琵琶湖の綺麗さを実感しつつ、もっと綺麗にしていきたいね。参加者もみんなで環境美化も目指して動いています。



ーびわこペーロンは普段から活動されているのですか?
参加されてるチームも、普段からドラゴンボートをずっと練習してるチームはむしろ少数派で、びわこペーロン大会に合わせてらペーロンの練習してるチームが大半です。また、県内の企業単位で出ていただいてたり、地域の琵琶湖を盛り上げるイベントにもなっています。
これだけ長く続けていると、びわこペーロンの名前は皆さん知ってくださっていて、知っているよと言うお声はいただきます。また、全国放送局に夏の風物詩として、報道によく来ていただきます。
そういう意味で琵琶湖の夏の風物詩になることで、地域の方や周辺企業のチームが参加して、60チームで1,000人ぐらいの参加者がいるんです。なので、1,000人の方が琵琶湖に親しむ機会になっています。


環境保全への取り組み:競技を超えたサブテーマ「美しい琵琶湖を未来へ」





ーびわこペーロンの課題とはなんでしょうか?
今年も中国から参加いただいたチームがあったり、沖縄から来られるチームもあります。本当にびわこペーロンって全国にも広がってるので、そういう愛好家がこのイベントを知って来ていただくこともあります。
僕は、びわ湖放送の社員でもありますが、民間の事業としては、収支的に行っている事業というより、社会貢献、地域のためにやってる事業でもあります。地元を盛り上げたいと思ってくださってる民間企業に協賛もいただいて、続けています。
ただ、最近はやっぱり夏が暑すぎると感じています。8月のお盆明けの開催がずっと続いていますが、本当にこの5年、10年で気温が違うので、例年であればちょっと涼しくなってきたかなぐらいでしたが、今年は、35度を超える中の外のイベントになってしまっています。



今年は10月まで近畿は暑かったと感じています
まず思い浮かぶのは、今それをどうしようかっていうところはあるとこですね。夏の風物詩って言ってるけど、夏にスポーツマンでもないみんなで、水上スポーツやるのは危険になってきてるなと思っています。
ドラゴンボート協会のみんなもそうですし、他の団体もそうかと思いますが、高齢化が進んでいます。70歳ぐらいの方が現役で頑張ってくださってる状況で、スポーツへの応援をしようっていう方も、ちょっと数としては減ってきてるのかなって言う状況です。
他のスポーツ業界も大体一緒かとは思うんですけど、参加する、やりたい、続けたいっていう意思はみなさん強いんですけど、支える人が足りなくなっていくだろうなっていうのが、見えてる状態ですね。
なので、今後の課題は気候変動により、夏の気温が高いので、開催時期をどうしようかっていう話と、人員の高齢化っていうところですね。
地域に根ざすイベントとしての魅力





ー地域のイベントしての魅力はいかがでしょうか?
サンシャインビーチで開催していますが、始まりもそうですが、本当はびわこペーロンは、参加者とその家族が応援に来るっていう規模の大会です。
だから、参加者が1,000人いて、応援する人がいて、1,500から2,000人ぐらいの方でやってるイベントですけど、もっと地域の方が、いろんな方が見に来られて楽しめるような、スポーツ大会というよりはびわこペーロンっていうお祭り的なものです。
なので、地域の方も、観光に来られる方も、参加する方だけじゃなくて、いろんな方が楽しめるようなイベントにしていきたいなと思っています。



ーそのほかの課題はございますか?
琵琶湖に関わってる人っていうのが、多分どんどん減ってる状態だと思うんです。やっぱり琵琶湖に行って、釣りとか湖水浴とかもあるし、なんでもあるんですけど、実際に体験して遊んでっていう機会をやってる人が少ないと思っています。
びわこペーロンでもそうですし、もっと簡単な水遊びでもいいので、琵琶湖に直に触れてほしいなと思ってるんです。そしたら、琵琶湖の変化とか「琵琶湖って案外綺麗だな」とか、「案外ごみがあるんだな」とか感じることがあると思います。
そういうところから環境意識の変化を感じて、琵琶湖が好きになったら琵琶湖を守りたい気持ちも出てくると思いますし、滋賀県の人はそれを実感して未来に未来へ引き継いでいってほしいなと、思いますね。
ただの水たまりじゃない、琵琶湖という宝物





ー地域を支える滋賀に住む方々へ、メッセージをお願いします。
琵琶湖で私もびわこペーロン大会もそうですし、ペーロン大会にも関わってきて、知れば知るほど琵琶湖のことをどんどん好きになっていってるので、みんなにも好きになってほしいなと思います。
ただの水たまりじゃなくて、そこには生物もあれば環境もあって、それがずっと同じ状態ではないので、その変化にもちょっと気付くと言いますか、ちょっと気にかけてもらいながら琵琶湖を好きになってほしいなと思います。
本記事は、教育関係者・保護者・塾運営者などへの取材をもとに構成した一次情報コンテンツです。
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