イランカラㇷ゚テはアイヌ語で「こんにちは」という意味の挨拶です。アイヌ民族は元々、日本列島北部、特に北海道を中心に、かつては樺太(サハリン)、千島列島、東北北部など広範囲に暮らしてきた日本の先住民族です。
文化と生活には、以下の特徴があります。
- 自然界のすべてのもに、魂(カムイ)が宿ると考え、自然への感謝や共生を重視している
- 狩猟・漁労・採集で、クマやシカ、サケやアザラシなどから衣服や工芸品を生業としてきた
- 口承文芸や古式舞踊、独特の文様を用いた刺繍や木彫りなど、豊かな文化を発展させてきた
漫画・ゴールデンカムイはアイヌ文化を表した作品の一つです
アイヌ文化は、9〜13世紀頃に成立しており、長い歴史を持つ民族です。かつては、本州や北東アジアの民族とも交易を行い、経済的にも活発でした。
しかし、江戸時代には松前藩による交易独占や不利な条件の押し付け、明治時代以降は同化政策や土地の没収、狩猟の禁止、言語・文化の抑圧など、長らく差別と抑圧を受けてきました。
1899年の「北海道旧土人保護法」は約100年にわたりアイヌの権利を制限しましたが、1997年に廃止され、「アイヌ文化振興法」が成立しました。
北海道旧土人保護法は「保護」と銘打ちながら、実態は土地や言語、文化の抑圧と同化政策です。対してアイヌ文化振興法は、アイヌ文化を「日本文化の多様性の一部」として初めて明記しています。しかし、この法律にも欠点があり、「先住民族」という法的な明記がないほか、土地や生活権の回復は含まれていない「文化的支援」だったことです。
アイヌ民族は権利を完全には回復できていないんだね
2019年、「アイヌ施策推進法」が成立し、ようやく日本政府は公式にアイヌ民族を「先住民族」と認めました。ただし、これも「象徴的な意味合いが強く、実効性は薄い」という側面があり、アイヌ民族は日本の先住民族でありながら、日本人に差別と抑圧を受けてきた民族といえます。
現在のアイヌの人々、つまり子孫は北海道を中心に暮らしており、関東圏など全国にも居住しています。近年はウポポイ(民族共生象徴空間)などの文化施設や、現代的なアートやファッションとのコラボレーションなどを通じて、アイヌ文化の再評価が推進されています。
「イランカラㇷ゚テキャンペーン」は、公益財団法人アイヌ民族文化財団が推進するアイヌ文化普及活動です。ゼロ塾ガイドでは、イランカラㇷ゚テキャンペーンサポーターとして、アイヌの人々を多文化理解という形で支援するため、この記事を作成いたしました。
それは、ゼロ塾ガイドの主たる活動意義、SDGs活動の「目標10:人や国の不平等をなくそう」に主に該当すると認識しています。また、アイヌ文化を広めることは、「目標4:質の高い教育をみんなに」に合致し、ゼロ塾ガイドの教育活動と一致すると思い、このキャンペーンに賛同しました。
アイヌ文化という、日本に元々ある多文化をなくすことなく、少しでも推進していくことが、日本人としての尊厳を高めることになると思います。