「翔励学院」が選ばれる理由は?主任講師・岡本大空氏に小論文指導の中身を聞いてみた

翔励学院 渋谷 インタビュー

東京・渋谷に教室を構える小論文専門塾「翔励学院」。2013年3月の開講以来、総合型選抜・学校推薦型選抜から一般選抜まで、大学入試の小論文と提出書類の指導を続けてきました。

掲げているのは「考え方から変える」指導。形式やテンプレートを教えるのではなく、大学で学ぶための思考そのものを育てることを重視しています。入会は、完全予約制の学習相談を経た審査制です。

では、翔励学院の指導は何が違うのか。ゼロ塾ガイドは、代表であり主任講師の岡本大空氏に独自に取材し、その中身を深掘りしました。

目次

小論文一本に絞ったのは、「それしかなかった」から

翔励学院 渋谷 インタビュー①
渡辺なおや

ー小論文に絞ってらっしゃる理由を教えていただけますか?

小論文専門にしたのは、意図した部分と、そうでない部分の両方があります。もともとはフルタイムの教員に戻るつもりで、一時期赴任先が定まらず、その間にだけ開講する、いわば腰かけのつもりでした。

それが年々生徒数が増え、当学院でしか指導することができない指導が展開されることになり、次第に「本腰」になっていきました。これが意図しない部分です。

開講当初、渋谷で教室を借りられたものの、普通にやっても生徒は来ない。それはわかっていました。

では何に特化するか。国内で一番だと言える指導ができるのは、小論文でした。小論文は年々難しくなり、大学で扱う内容に近づいていました。

学生講師中心の塾では対応できないだろう、と。ちょうど副都心線の開業で渋谷へのアクセスも良くなった時期です。

東京には、時間とエネルギーをかけて教育に向き合うご家庭が必ずいるはずだ。そう信じて今でも小論文専門指導を行っています。これが意図的と言えることです。

「考え方から変える」とは、学問の論理を身につけること

翔励学院 渋谷 インタビュー②
渡辺なおや

ー考え方から変えるとは、どういう意味でしょうか?

従来の小論文指導の多くは、形式の指導です。私も高校時代にそうした指導を受けましたが、それでは実施の大学入試で太刀打ちできません。

「考え方」は便宜上の言い方で、厳密には論理です。体育会系には体育会系の論理があるように、学問にもそれぞれの論理があります。

たとえば法学部なら、合法か違法かを考える法学的な思考が求められる。その判断には、法とは何か、社会になぜ法が必要なのかを考えていなければなりません。実際に、身近なトラブルに法がどう関わるべきかを問う入試問題もあります。

大学の小論文は通常、複数の教員が一人ひとりの答案を時間をかけて読みます。日本語の整い方を見るためだけに、それだけの手間をかけるとは考えにくいでしょう。

よく言われる三部構成も、学術論文を書けば結果としてそうなるだけで、形だけ真似ても意味はありません。指導では、書いてきた文章を学術的な観点から批評し、本人がもう一度考えを改める。その繰り返しで文章は自然と良くなります。

指導をするうえで難しいのは、何が問題かを見極めることです。知識が足りないのか、自分の考えに固執しているのか。科学とは、自分の思いや信念を越えて何が正しいかを考えること。そこが変わると、生徒は目に見えて伸びていきます。

当学院の生徒は、駅から教室までの道を本を読みながら歩いてきます。危ないからやめなさいと言うのですが、勉強が楽しい、早く大学に行きたいと言うんです。

完全予約制と入会審査。学習相談で見ている「本音」

翔励学院 渋谷 インタビュー③
渡辺なおや

ー完全予約制と入会審査を設けている理由は何でしょうか?

基本的に私一人で教えているので、来た生徒には責任を持って向き合いたい。授業中に飛び込みの相談は受けられませんから、予約制にしています。入会審査で見ているのは、今の文章の完成度ではありません。

答えのない問いから逃げずに考えようとする、知的な誠実さがあるかどうかです。

40分の学習相談で見ているのは、伸びるかどうかと、学力面の課題の2つです。中学生や高校1年生でも一人で相談に来る生徒が多いのですが、自分の進路は自分の言葉で話してほしいと考えています。

よくあるのは「〇〇大学に行きたい」というケースです。理由を聞いていくと、本当は大学で学びたいのではなく、認められたいという気持ちが奥にあることが少なくありません。それは本当の望みではないので、苦しいときに頑張りきれないんです。

渡辺なおや

ー確かに……!

私自身、若い頃は学校教育に強い疑問を持っていて、それを教育哲学の研究という形でぶつけました。自分のためではなく、証明したいことがあったから頑張れた。意識が自分の外に向くと、人は力が湧いてくるんです。

ですから相談では、「本当にそれを望んでいますか」と本音に踏み込みます。そこで「そうかもしれません」と素直に言えるかどうか。

大学は、先生方の研究を間近で拝見しながら、自分の練習をする場所なんです。1コマの授業の進め方も、その都度変わります。書いてきた文章を見て、何を考えて書いたのかを判断し、今日やることを決める。

歯医者さんのように、まず状態を見てから処置を決めるイメージです。

その日の気分も思考に影響します。教室に入ってきた瞬間に様子が違えば、話を聞くところから始めます。あえて気づかないふりをしたほうがいい場面もある。そこは20年間、多くの生徒と先輩の先生方から学んできた経験で判断するしかありません。

学費を抑えているのは、家庭の経済力で差がつくべきではないから

翔励学院 渋谷 インタビュー④
渡辺なおや

ー学費を相場より抑えてらっしゃるかと思いますが、理由はございますか?

うちには公的な支援や奨学金を利用して通う生徒も少なくありません。実費はかかるので費用はいただきますが、親の経済力が入試で有利に働くのは違うと思っています。

渋谷という通いやすい場所を選んだのも、いろいろな地域から来られるように、という面があります。

私は経営者というより教育者で、学校の教員が独立して自分の教室を持った、というイメージが近いと思います。教育は、お金儲けのためにやってはいけない仕事だと考えています。

大学が見ているのは同じ。小論文への誤解を解いていきたい

翔励学院 渋谷 インタビュー⑤
渡辺なおや

ーこれから、力を入れていきたいことを教えてください

大学が小論文や面接で問いたいのは、学習指導要領の範囲を越えた、大学で学ぶ内容に対応できる力です。入試形態で本質は変わりません。

「留学や海外ボランティアの経験があると有利」という話もよく聞きますが、大学の先生方がそこを評価しているわけではありません。どの先生も口をそろえるのは、「私たちの研究についてこられる学力があるかどうか」。その一点です。

一般選抜でも医学部や国公立、難関私大で小論文が課されるのは、英語や数学ができるのは当然として、そのうえで読解力や考える力を見たいからです。形式を整えれば1〜2か月でなんとかなる、というものではありません。

今後についても、学院を大きくしたいという思いはありません。毎年、一つひとつの授業を大切にしていくだけです。

そのうえで願うのは、小論文指導をめぐる誤解が解けていくことです。以前は年間50校ほどの高校を回って講演をしてきました。理解してくださる先生方は少しずつ増えていますが、まだ圧倒的に少ない。

私にできるのは、大学が本当に求めるレベルの生徒を一人でも多く送り出すこと。そして、地方の学校や塾で正しい理解を深めたいという方がいれば、できる限り力になりたい。

小論文や総合型選抜が、本来あるべきハイレベルな入試になっていくこと。そこに貢献できたらと考えています。

本記事は、教育関係者・保護者・塾運営者などへの取材をもとに構成した一次情報コンテンツです。
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